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第二波が来る。
指向性レーザー銃だ。鎧通しの如く正確に、関節部を狙って発射されている。
私とて、光速では動けない。だが、銃口から射出されたのを認識した瞬間、その射線上にバイオメタルの障壁を展開すれば、容易く完全な防御ができる。
――馬鹿な真似はやめろ。
幾度繰り返したところで、私の内的な思考など、彼らは読み取りは出来ない。
彼らは詰まるところ雑兵だ。使い捨ての、足止め要因だ。
あくまで敵を殲滅することを最優先とするように設計された私を一定の座標に留まらせ、本命の指向性エネルギー砲を確実に当ててくるつもりなのは明白だ。
私に対し機巧を送り込まない理由はただ一つである。私は精神波を有する活動体しか攻撃対象としない。私同様精神を備えさせることに成功した、技術の精髄たる敵軍の機巧は、先日の戦闘で哀れ鉄屑に変じた。
未だ私のコアの位置は、攪乱によって割り出されていない。中途半端な熱量では装甲を温めることすら叶わない。だから、一帯を灰燼も残さぬ熱量で消滅させるしか、私を斃す方法はない。
数時間、いや、数十時間、ひょっとしたら何日間にもわたって枯渇し掛かっている国の資源を投入し、エネルギーに変換し、収束し、その一方で私の座標に確実に当てられるように、地軸の傾きや気象条件といった、ビームの軌道を狂わせるあらゆる要素を勘案し、緻密な制御を行っているのだ。
当然、私が全身を高エネルギーの奔流で蒸発させるときは、辺り一面も全て跡形もなく消え去りし、灰燼も残らない。雑兵達の遺体が無造作に転がる荒漠たる大地も、何もかも、全て。
私のある部分は、それを是としないために、動きを鈍らせる。
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