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紅仁は朱雀帝の言っていることが理解できなかった。初代黒朱雀、先程の話の娘は濡烏の髪を持っていたと言っていた。一方紅仁の髪色は朱雀妃の髪色である真紅だ。
混乱する紅仁ののど元に、朱雀帝は懐刀を当てて訊ねた。
「何者だ…!名を吐け!」
高圧的だが、相変わらず声の音色だけは品が良かった。
紅仁は震える声で答えた。
「え、あ、あの、私は、南条紅仁です」
刃を握る朱雀帝の拳に力が入った。それを見て恐怖を覚えながらも紅仁は続けた。
「明日の17の誕生日に貴方への嫁入りを突然言われ、逃げている最中に誤って井戸から転落しました」
「余との縁談を突然言われただと?ふんっ、そんなこと有り得ぬ」
不機嫌そうに朱雀帝は言った。
「で、でも本当なんです…」
「では本当の名を履け」
ー本当の名前?何それ?「紅仁」以外あるわけな…
そこまで考えて、紅仁はある1つの可能性に行きついた。紅仁は勇気を振り絞って、朱雀帝の冷酷な光を帯びた黄褐色の黄褐色の瞳を見つめながら口を開いた。
「私の名前は南条紅仁です。ですが、この名前は私が5歳ころ、育ての親につけていただきました」
「ではその前の名前は?」
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