2、 黒朱雀

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そう、黒朱雀には2つの意味がある。 1つは妖魔等が朱雀の血を受け継ぐ人間、偽の朱雀妃に成りすませたもの。つまり伝承通りであり、朱雀帝もこれを疑い、紅仁を殺そうとした。 そしてもう1つは、失格の朱雀妃。朱雀妃の血も力も受け継いだ者だが、何かしらの理由により、その地位にそぐわないとされ、この地に舞い降りる際に朱雀妃の証は封じられてしまう。 ただこの失格の朱雀については、前者が数多の例があるにも関わらず、たったの数例しかない。後者の黒朱雀は一応資格を満たせば元の姿に戻れるとされているが、皆黒朱雀のまま死を迎えていた。そして失格の黒朱雀の場合、その死の後、王は新たな正当な朱雀妃を迎えている。 -まあ、陛下も宰相も、いや政務室にいる者は黒朱雀は厄介だから、どちらであろうと殺せとなるでしょうね。 朱陽国で女性は政に携わることはまずない。だがそれでも、そんなことは容易に推測できた。 妖魔なら殺さねば疫が広がるし、失格でもその死後、新たな朱雀妃が来るなら、失格の朱雀妃を殺してしまった方が手っ取り早いのだ。
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