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そして紅仁は1つ悟ったことがある。
「ねえ、ここへ来て、私のこと、みんな『黒』って言うのだけれども、それってこの髪のせいなの…?」
紅仁の声はまだ震えていた。
泉花はそんな紅仁の瞳を捉えて、しっかりと頷いた。
「で、でも私、そんな妖魔とかいう化け物じゃないわ、本当よ!」
紅仁は今にも泣き出しそうに怯えていた。
「大丈夫ですよ、わかってます。きっとあなた様はもう1つの黒朱雀なのでしょう」
紅仁はこの世界に来て、朱雀妃の証である真紅の髪色を失った。勿論今の紅仁は何の力も持っていない。
そう、紅仁は本当に「失格の朱雀妃」であったのだ。
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