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「いい加減にしてください」
さすがに客ともめることなど避けたい慶一郎でもこれだけは言わなければならなかった。
「何があったのじゃ?」
わからないと首をかしげる朔に慶一郎はこのところ起こる不可解な運の良さの話をした。
「しまいには店の前に数百万が入ったバッグが落ちているんですよ。さすがに不気味すぎます」
「金がたくさん入るのはいいことではないのかや?」
きょとんとした顔で尋ねる朔。そんな彼に慶一郎は頭が痛くなる。
そこに割って入ったのは、幼馴染で神社の息子、両者の仲を取り持てる十夜だった。
「待てよ。慶一郎が怒るのもわかる。でも慶一郎。神様に俺たちの常識など求めちゃダメだぜ」
「僕はただ料金を支払ってもらいたいだけだよ?それがなんであんな嫌がらせに……」
「嫌がらせじゃないぜ。あの神たちはお前のコーヒーに対価を支払っているのさ」
場の空気を変えようとしたのか、十夜は少しおどけた調子で言う。
「神にとっちゃ、対価を払うって言うのは「ご利益」を与えることだからな」
「ご利益?」
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