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「そ。神たちはお前の運が向上するようにご利益でコーヒーの対価を返したんだ。……が、問題はそれが複数人……複数柱?重なっていることだよな」
異常な状況はどうやら神様たちの手による豪運であったらしい……。
「じゃぁ、どうすればいいのじゃ、十夜?」
「朔。お前、どうせ『コーヒーを口にしたら対価を支払え』くらいにしか言っていないんだろう」
「む?間違ってはいないだろう?」
いまだ、彼は慶一郎が何を困っているのかわからないようだ。
「ご利益じゃなくて、金で支払えと神に言えよ。御利益なんて重なりすぎて怖いんだよ」
「そうかのう?慶一郎たちは得をしているではないか?」
「あまりにツキすぎていると気持ち悪いんだよ。本人も、周りも」
「そうだね……」
十夜の言葉はまさにその通りだった。
自分のところに商店街中の商品がやってきたのは偶然なのかもしれないが、その一方で商店街の人達は謎の故障やミスで困っただろう。それに立て続けに特賞を出した兄妹は店の人からどのように見えただろう。店の前に落ちていたお金だって、妹のところに余計に渡されたお釣りだって、湧いて出てきたものじゃないはずだ。誰かが損している。
「僕はそんなご利益は受け取れないよ」
「むぅ……。わかったのじゃ。皆にはわしと同じように金を支払うということを教えておく」
「そうしてほしいなー、店主としては」
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