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それから数日後。日曜日に店で使う皿を見るためにデパートに行った時のことである。
「もうこの間のびっくりしちゃった……」
一緒についてきてくれた妹の愛歌がふーっと大きなため息をつく。
「ハジメ君が大量の貢物をもらってきた騒動?」
十夜が茶化して表現したものを、慶一郎も使わせてもらうことにした。
「そっちじゃなく、コンビニでお金もめたこと」
「あぁ、そっちね」
これは愛歌が経験したことだ。
なんでもお昼用にと飲み物とパンを買っていたらしい。そのとき千円札を出したはずなのに、なぜかレジの人に一万円札と勘違いされて、払ったよりも多くのお金が返ってきてしまった。
真面目な慶一郎に似て、愛歌も間違っていることをそのまま享受できず、その場でもめてしまったらしい。
後日、防犯カメラや売り上げから愛歌の言葉が正しいと分かり、お金は正しくやり取りされたのだが、それまで、愛歌は随分と腹の中にやきもきとしたものを抱えていたらしい。
「うんうん、でも無事に解決してよかったね」
「うん、今でももめてたら、なんかズルしたみたいで、ずっともやもやしてたと思う」
そんな良い子に育ってくれた愛歌を慶一郎は大切に思う。
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