政略結婚2～今日あなたに嫁ぎます

「だって決められた結婚じゃなければ泰嗣さんみたいな人と出会えなかったし、泰嗣さんも結婚を決めなかったでしょ？」

「・・・・」

「それに結婚したからって 確かに泰嗣さんは私だけの泰嗣さんになる訳ではないのも分かってるけど・・・」

「けど？」

「今まで通りに綺麗な人達と遊びに行っても仕方がないのかなぁーとか」

「・・・それで？」

「泰嗣さんみたいな格好いい人は 皆さんの泰嗣さんだから共有しないといけないのかなって思ったら悲しくなってきて」

杏佳の話を聞いて 喉がギュッと詰まるような気がした

「皆んなの泰嗣さんっていうのに私は耐えれるかな・・・」

あながち間違っていないと杏佳に思われている事が 俺にとってどれ程怖い事か

杏佳は何も分かっていない

寒気がする

「杏佳っ」

杏佳の手をギュッと握った

「出会いは確かに決められた結婚だったかもしれない でも杏佳だから結婚を決めたんだ 杏佳と出会う前の事は消せないから、どう思われても仕方がないけど 今からは絶対にない！ 誓える信じてっ」

「・・・・」

「それに杏佳だけの俺じゃないの？ じゃぁ杏佳は俺だけの杏佳じゃないって事？」

「・・・・」

自分の知らない所で杏佳が変に大人な解釈をしている

今も聞かなければ 噂話をあながち・・・なんて思ってたんだ

何も答えてくれない杏佳に恐怖を覚えた