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そして彼女と手を振って別れた時、目の前が外側から覆うように暗くなった。
目を覚ますと、いつも朝に見る天井だった。
なんだ夢だったのかと少し汗ばんだ身体を起こす。そしていつも通り冬華との待ち合わせ場所に行き、一緒に登校した。その途中にまた漂ってきた、金木犀の匂いが。すると冬華が
「見て見て!夏夜!見て!」と空に指をさして言った。夢で見た会話だ。私は空を見る前に彼女に自信なさげに言ってみた。
「リスの形をした雲…?」
すると冬華は「なーんだ。夏夜も見てたんだ~。可愛いね~。」と答える。
これでリスの形をした雲を見るのは3回目だ。こんなにはっきりとした正夢は初めて見た。冬華にこの事を言うと、
「そんなわけないじゃん。勘違いだよ。よく言うじゃん、夢を見たことは覚えてるけど、内容はテキトーに覚えてるって。」
頭がゴチャゴチャになりぼーっとしていたら、
「デジャヴってやつじゃない?あのほら、なんか二度体験した気分になるみたいなやつ」
と言われて確信が持てた。これは正夢だ。昨日見た夢と全く同じ出来事を体験している。するとまた、目の前が暗くなっていった。
目を覚ますと、いつも朝に見ている自分の部屋の天井だった。意味が分からなかった。身体は起きているけど思考がついていかない。15分ぐらい何もできず、ぼーっとしていた。時間が経つにつれてら分かってきた。私はおそらくデジャブを体感した夢を見た夢を見たのだ。そしてもう1つ気づいた。今から学校に行っても同じことが起こるではないか、と。朝食、色々な支度を済ませ、興奮と緊張を持って冬華のところへ行こうとすると、母親がバカにしたような声で私に言った。
「何してんの夏夜。今日は土曜日だから学校は無いのよ。」
頬をつねったが痛かった。
皆さんはこんなよく分からない経験ありませんか?あったら教えてください。私はありません。
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