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過去の恋愛
風邪も治り啓介は
すっかり元気になりました。
翔平くんの話を聞いた啓介も随分
心配していました。
その時、自分の過去の恋愛を啓介自ら
話してくれました。
同じ大学だった元カノとは社会人になってから再会して付き合ったそうです。
元カノとは3年付き合い・・・
お互い結婚を意識しだしたとき、
2人に大きな壁が立ちはだかりました。
彼女の両親の反対です。
それでも2人の意思は固く、
彼女は一生懸命両親を説得し続け、
啓介も何度も会いに行ったそうですが、
最後まで許してはもらえませんでした。
苦しい状況の中、疲れ果て、
彼女の精神状態も限界に感じたそうです。
このままじゃ彼女を苦しめるばかりで
自分が身を引いて別れた方がいいのでは。
と思うようになり悩んだ結果、
自分から別れを告げたそうです・・・
啓介に聞きました。
「 それで、、、彼女は納得したの ? 」
『 納得出来なくてももう限界だったから・・
離れるしかなかった 』
「 お互い思い合ってたのに・・・」
『 自分から身を引いたなんて言ってるけど
逃げたのは僕の方。
彼女は何も悪くない。
僕が彼女の手を離してしまった
でも彼女の幸せだけを願ってた 』
そう言うと寂しげな顔をして、
手話を止めてしまいました。
「 大切に思っていたんだね・・・
啓介も愛されていたんだね 」
『 翔平とは少し違うけど
気持ちは痛い程わかるよ 』
「 良い彼女さんだったんだね・・・ 」
私は思わず啓介を抱きしめました。
思い合っていても、2人だけでは
どうしようもない壁にぶつかった・・・
好きなのに別れなければいけないなんて
想像もしたくないのに、
啓介は経験したんだと思うと切なくて・・・
いま、付き合っている私が言うのも
あれですが、正直別れてしまった2人を
残念に思いました。
啓介は決して彼女はもちろん彼女の
ご両親の事も一切悪くは言いませんでした。
私には分かります。
きっと彼女の幸せだけを願い、
自分の感情を押し込んだんだと思います。
そういう人だから。
優しさで溢れてる人だから。
「 啓介かっこいいね
さすが梨香の彼氏だわ!! 」
『 まだまだ傷心中の僕に、
梨香ちゃんがぐいぐい来てくれた笑 』
「 そんな辛い過去があった事なんて知らず
啓介の心をノックしすぎてたし 」
『 心をノック。 いい響きだね 』
「 聞こえなくても響くのわかったでしょ笑 」
『 梨香ちゃんのノックは激しく響きました 』
「 何それ笑 優しく響いたとかないの笑? 」
『 いや、本当に梨香ちゃんの存在が僕を
救ってくれたんだよ 』
「 ね・・・やっぱりまだ彼女のこと
忘れられない? 」
『 もうそれは過去のこと。
僕は梨香ちゃんだけを見てる 』
「 嬉しすぎて泣く 」
『 涙出てないよ笑 』
啓介の過去。
両親の反対。
私だったら?
私の両親はどう思うだろう・・・
両親には啓介の存在をまだ伝えていない。
ほんの少しだけ不安になりましたが、
私の両親は大丈夫と信じたいです。
でも今はまだ考えないでおこう。
2人の時間を大切にしようと思ってました。
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