第三十九章 加藤海将

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「行こう、みんな」  奉生が首を小さく振ってみんなに合図を出す。 「行こうって、奉ちゃん何処に行くの?」  小雪が奉生に行き先を尋ねると、奉生は加藤を真似て「もちろん地下室さ」と答えた。  ――加藤は会場の出入口を通り抜けて通路に出ると、エスカレーターで一階のエントランスに降りて、セキュリティルームに向かった。  みんなが加藤の後について一階のエントランスを歩くと、美姫は心のカーテンを開いて、みんなの意識にコンタクトした。 (背が高くて足が長い)(肩の骨格が発達している)(胸が厚い)(腕の筋肉)(財布の中に札束が入っている)(金持ちだわ)(セックスは上手かしら?)(この男なら抱かれてもいいかもしれない……)  小雪が加藤の後ろ姿を眺めて彼の体を透視をする。  小雪の関心は精力的な肉体と財布の中身にあるようで、彼を店の客に出来ないかと思案していた。 (あら、あら、小雪さんは何を考えているのかしら……)  美姫が小雪の横顔をチラッと覗く。  ――突然、美姫の頭の中に映像が浮かんだ。  航空母艦の戦闘指揮室。  制服姿の自衛官と背広姿の男。   高輝度で発光する大型スクリーンに表示されたプロトタイプのロケットエンジン。     
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