第三十九章 加藤海将

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第三十九章 加藤海将

 ――突然、美姫の背後から声が聞こえた。 「その話の続きは、別の場所で、お願い出来ないかね」  みんなが振り返ると、制服姿の自衛官が腕を組んでこちらを眺めていた。  男の年齢は五十歳位だろうか、眉毛が濃く、目は切れ長で、頭髪は白髪まじりだ。  龍星が制服の階級章とバッチに視線を向ける。 (階級章は海自の三つ星……将官クラスか……このバッチは技術部だ) 「君は陸自第十二旅団普通科連隊の大地士長だね」  男が右手を上げて敬礼をすると、龍星は条件反射で男に敬礼を返した。 「はっ、そうであります」 (この男は、なぜ、俺の事を知っているんだろう?) 「私は海自技術研究本部長の加藤だ。よろしく大地士長」  加藤が右手を差し出して龍星に握手を求める。 (海自技研の加藤本部長……噂で聞いたことがある……この男は先守防衛システムの開発責任者だ) 「あっ、どうも」  龍星はあわてて彼と握手を交わした。 「それじゃあ、行こうか」 「えっ? 何処へですか?」  龍星が加藤に行き先を尋ねる。 「もちろん地下室さ、そうだろう、雅奉生君」 「ええ、そうですね」  奉生が加藤に返事をすると、彼は奉生の肩を軽く叩いて通路を歩き始めた。     
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