偶然とは突然に

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「……とりあえず、なんで俺なのか訊いて良い?」  立花のような女子にとっては一世一代であろう『告白』と言う一大イベントの中で。  どう考えてもそんな言葉は不要としか思えないが。  これが――『罰ゲーム』だと言うのも考えられるのだ。  女子のイジメと言うのは男子よりも陰湿だと聞いている。  男子のイジメは――具体的には暴力的なモノだが。  女子のイジメは――精神的苦痛を味合わせ続けるモノ……だと思う。具体的には知らないから分からない、ただの偏見でしかないが。  その中で、『好きでもない相手に告白してこい』――などと言うことがあっても何らおかしくはない。むしろイジメている女子の一大イベントを穢し、更には嘘だと分かった男子に嫌われると言う二大コンボが待ち構えている。  何ともえげつない手で、出来れば考えたくないのだが。  ここで一時の恥と引き換えに、立花をイジメから救うことが出来るのならば、安い買い物だ。 「………………」  俺が言った言葉に多少なりのショックを受けているのか、立花は黙ってしまった。  ……なるほど、これでイジメの線がかなり強くなった気がする。  確定的な証拠はないが、八割方と言ったところだろう。  しかし、ただの一般生徒である俺のような存在に、イジメられている女子を救うことが出来るか、と思われがちだが。   ――出来る、それが答えだ。
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