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夢の中は,
変なタイミングでシーンが変わったり,
場所がいきなり合体したりするが,
今はそこまでの変化も無く.
(とりあえず鍵鍵……)
家の玄関を開けると,
母親が缶ビールをひっさげて寝転がっていた.
(どこで飲んでるんだよ母さん……)
「おー! おかえり! どうしたん? そんな焦ってー」
「ちょっと用事! チャリのるから!」
「今日は醤油飯炊くけど,ホッケも焼くから早めに帰ってくるんよー」
「りょーかいー!」
雰囲気は現実と変わらない,
酒を飲むとテンションの上下がかなり極端になるあの母親だった.
缶ビールにはサン○リー,一番○りとある.
(一番○りはキ○ンじゃなかったっけ……?)
ここは夢の中だけにぐじゃぐじゃだった.
母親の後ろにはゴールデンレトリバーが1匹.
現実では犬は買ってないんだけど……何故?
犬と目が合う.
特に吠えられることも無く,
犬はそのまま脱力して横になった.
その姿に,
猛烈な既視感を覚える.
「……まさか,父さん? 」
────犬がだるそうにしながらもこちらへ振り返った.
父さん確定だった.
(なんで父さん犬化してるの!?!?)
いくら母さんに普段から犬と言われてるからって
別に犬にならなくても……
いや,
夢だから気にすることはないか.
右前足を,俺から見える位置まで上げて軽く振った.
……手を振ってるつもりなのか?
(いや、とりあえずチャリ!)
何故か悲しくなってきたが,
首を振り,玄関をあとにした.
自転車の鍵をにぎりしめて裏口へ────
────と思ったら,
いつの間にか,
いとこの家の駐車場にいた.
(ここで場面変わるのかよ!!!)
握りしめていた自転車の鍵は,
ス○キの車の鍵になっていた.
(え!? これ,まさか……)
ふと,目の前を見ると,
そこには,
数ヶ月前まで現実で乗っていた,
俺のワ○ンRが.
(うおお!! なんか分からないけど嬉しい!!)
実際乗っていたのと同じ,
白のスティン○レイだった.
いとこの家に何故とめてあるのかは分からないけど,
夢の流れ的に乗れということらしい.
(これなら早く辿り着ける……!)
いとこに挨拶いれること無く,
俺は車に乗り込んだ.
(あ,俺ちゃんと免許証持ってるよな……?)
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