新たなる力

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呉少年が逃げ込んだのは、 いつも修行する刺繍堂の倉庫。 埃ぽいがここを掃除する訳ではなく、 裏技は無いかと秘伝書を密かに読む為だ。 「なになに? 針拳は南家系内功で有るが、 未熟者であろうと気を高める鎧有り? 何だそれ!?何処に有るんだ!?」 書物を漁ると、 埃を被った小さな木箱が、 本棚の隙間に挟まっていた。 「もしかしてこれか? いやいやそんな筈ないよな…」 疑いながらも木箱を開けると、 古ぼけた帯と留め金が入っていた。 「これを巻けば良いのか?」 呉少年が腹に留め金を当てると、 帯が埃を立てながら蛇の様に勝手に巻き付いた。 「おわっ!何だ?」 すると留め金から車輪が出て、 二つに分離したと思うと、 奇妙な二輪の車となった。
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