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瀬木のあとについていくと、
木立に隠れるように、キャンピングカーが一台止まっていた。
いつもここで寝泊まりをしていると言う。
車の中は、冷蔵庫や簡易ソファのようなものまであって、ちょっとした家みたいだ。
遍が、ソファの上を転げまわる。
ミヤオがミャーミャーと鳴く。
「ミヤオにもごはんあげなきゃ」
俺はリュックから牛乳を出した。
瀬木はストローを切ってスポイトのようなものを作り、ミヤオに与えた。
ミヤオは、ぐんぐん飲んだ。
めやにを拭いて、ティッシュでおしりをマッサージして、おしっこをさせた。
こうしないと自力では出せないのだそうだ。
「目が青いな」
ミヤオの目をのぞきこんで瀬木が言った。
本当に澄んだ青色だ。
「キトンブルーか」
瀬木がつぶやく。
「え? 何?」
「キトンブルー。知ってるか? 子猫って、みんな目が青いんだよ。
二か月くらいたつと、目の色が変わってくる。青いままの猫もいるけどな」
「へえ。なんで?」
「メラニン色素の関係らしいけど。よく知らん。神様にでも聞いてみたら?」
この青い目は、俺達とおんなじ世界を見ているのだろうか。
それとも青いセロファンをのぞいた時みたいに、何か違うふうに見えているのか。
瀬木は、今日捕ったカモをしまい、
冷凍庫から何かの肉を取り出すと、調理して俺達に出した。
噛み応えがあって、淡白な味だ。
「これ、カモの肉?」
「ウサギ」
アッサリと瀬木は答えた。
ウサギなんて食べるのは初めてだ。
「なんでウサギは食べてよくて、猫は食べたらダメなんだろう」
思わずつぶやくと、
「まずいのかもな」
瀬木がミヤオをちらっと見やった。
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