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「天使が来るわ」
木の上の女神が言った。
「天使がヘリコプターに乗ってる」
「天使だって近代化するのよ」
その時、天使のヘリコプターが木のてっぺんに止まった。
「さあ」
木の上の女神にそう言われて、紫音は木を昇った。
ヘリコプターの中はとても狭かった。天使は紫音が隣りに座ると、大きな羽を苦しそうに小さな操縦席に押し込め、ヘリコプターをゆっくりと上昇させた。
ヘリコプターは来た時と同じようにカラカラと軽い音を立てていたが、その音とは関係なく、ふわふわと飛んでいった。
天使は何もしゃべらず、巨大な色素の薄い透明に近い目だけをぎょろぎょろと動かしていた。でもなぜか、とても心地の良いやさしい雰囲気を紫音は感じた。
窓から夜空を見上げると、天国が見えた。
神さまがちょうど、笑いながら大きな鉈で人間を処刑するところだった。その近くで天使たちが巨大なペニスを更に膨張させ、逃げ惑う女の子を追いかけまわしている。その向こうで巨大な女神さまたちがアヘンの煙を吸い、夢見心地のとろんとした目で人間を楽しそうにいびっている。
窓から下を覗くと、今度は世界が見えた。
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