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「大丈夫か。」
俺が声を掛けると、カオリは何かを振り払うように首を振った。
「大丈夫。私が……決めたことだから。……この指環を投げ捨てて、もう忘れるんだ。」
俺まで涙が出そうになった。
それでも泣くわけにはいかない。辛いのは、カオリだ。
「がんばれ。」
カオリに聞こえないぐらいの声で、俺は呟いた。
カオリが、砂利を踏みしめた。
「カズヤの、バカヤロー!!」
カオリは、思い切り右腕を振り抜いた。
……ん?右腕?
ポチャン。
カオリの左手には、指環が握られていたままだ。
となると、川底へ沈んでいったのは……!
「「スマホ投げたあああ!!」」
「あああどうしよどうしよどうしよ!」
「何で投げる前に確認しなかったんだよ!」
「だって!トーク履歴消す時に右手でスマホ持って、そのままなんとなーく持っちゃってたんだもん!」
「何でなんとなーく持っちゃってたやつをあんな思いっきり放り投げられるんだよ!どーすんの!?」
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