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このあたりは船も滅多に通らないし、実際取りに行くとしても潜って探すぐらいの手段しかなさそうだ。
……ん？そういえば。
「カオリの兄ちゃんって、ダイビングのライセンス持ってなかったっけ？」
「あ！確かに！お兄ちゃんに頼めば、何とかなるかも！」
カオリ兄には少し悪いが、ここは犠牲になってもらおう。
「よし！とりあえずお兄ちゃんに電話電話！……あ。」
「「ケータイもないのにどーやって電話すんだよ！」」
「スマホ……私のスマホ……」
「なぁ、諦めろって。もし見つかったとしても、多分水没して使えないって。」
「そんなの分かってるよ！」
嗚呼、こんなはずじゃなかったのに。
カオリは、指環を投げ捨てる決心をした時よりも激しめに泣きじゃくっている。それでいいのか。
不意に、俺のスマホが鳴った。電話だ。
発信元は、カズヤだった。
出ようかどうか、かなり迷った。けれども何か、そう悪くない予感がした。
「もしもし。」
[「急に電話して悪いな、ちょっと相談があって。」]
「何だ？」
[「カオリの事なんだけど」]
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