5人が本棚に入れています
本棚に追加
何となくそんな気はしていた。だが、いざとなると緊張が走る。
「……カオリがどうした?」
[「やっぱ、もう一度やり直せないかな、と思ってさ。んでさっきからカオリに電話してんだけど、全然出なくて。」]
ここでスマホ投げ捨てが響いてくるか。
[「もしかしたら着信拒否されてるのかな、とか思ってさ。……なぁ、お前から連絡取れないかな。」]
なるほど、これは運命かもしれない。幸か不幸か、スマホが身代わりになってくれたおかげで、指環は無事だ。
今なら、まだやり直せる。
「ちょっと待ってろ。」
俺は、通話画面をカオリに見せた。
「カズヤからだ。」
カオリは、一瞬驚いた顔をした。少しの間目を伏せて、それから力強く画面を見つめた。
そうだ。それでいい。
「代わって。」
カオリにスマホを手渡す。カオリの声が聞こえたのか、カズヤが驚いているのが電話越しにうっすら聞こえる。
「もしもし。」
[「カオリ、カオリか!?」]
「うん。」
[「なぁ、俺が悪かった。やり直さな
「もう二度とかけてこないでね。じゃ。」
最初のコメントを投稿しよう!