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 衣替えが済んだばかりの10月の初旬のある日。 晴れ渡る秋空の下、体育館の裏手の壁際に二人の男女の姿があった。他に人影はなく、時刻は8:20。普通なら教室でHRを待機している時間である。 「いいか。HRの前に釘さしておくけどな。教室で俺に話しかけんじゃねーぞ」 「ええ!やだ!」 男は色素の薄い金髪に両耳にピアスをびっしり実らせ、まさに不良少年といった外見で、少女を壁に追い込んでいる。 一方、壁を背にして不良少年に詰め寄られている少女は狭い間合いの中でピョコピョコと跳ね、頭につけた大きなリボンとサイドテールを弾ませている。少女は小柄で細身だが、頭二つ分ほど背の高い不良少年に対して全く物怖じしていない。 「ガオーくんあれもだめこれもだめってダメダメばっかり!ガオーくんと席近いし掃除の班同じだもん。ぜったい話かけるもん」 「なぁ空耳だと思ってスルーしてたがまさか俺のことガオーって呼んでるか?」 「ガオーくん」 「当たりか…」 「ガオ~~~~ッッ狼だぞ~~~~ッッ」 疲労をにじませ項垂れる不良少年に少女は容赦なく狼の物真似を浴びせる。
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