5人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうしようと言われても、こればかりはどうにもできぬのう……」
ホイットニーは苦渋の表情を浮かべてそう言う。エドはいくらジョンのパーティメンバーだとはいえ彼らに内緒でやって来た者だ。そう簡単に第三者のホイットニーが秘密を漏らすわけにはいかない。
「でも何とかしてやりたいんです。隠し事をして苦しんでいるエドの姿は見たくないんです」
「人のできることには限界があっての、どうにもできないこともあるのじゃ。お主の気持ちは分かるがの」
「じゃあ私はどうすれば……」
「時機は、必ず来る。待つのじゃ。そしてその時機が来るまで、エドに心を開き続けておくことじゃ。辛いことかも知れぬがの」
ホイットニーは哀しそうな面持ちでそう伝えた。
ジョンが神殿を去るのを見送った頃、夕日は完全に地平線へと沈んでいた。セーファスはホイットニーに問いかける。
「よかったんですか?ジョンをあのまま帰してしまって」
セーファスの問いに対してホイットニーは首を縦に振る。
「いや、こうするのが一番なのじゃ。大丈夫。なるようになるわい」
ホイットニーはそう自信を持って言い切った。
最初のコメントを投稿しよう!