第3章 勇者敗北

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グロスはリップに負けた…。 グロスは始めて敗北を知った。 「くそ…この俺が負ける…だと?」 グロスは地面に自分の拳を叩きながら悔しがった。 「ちっ…やってらんねぇ……」 グロスは文句を言いながら街から離れフラフラ歩き始めた。 歩きながら、グロスは昔の事を思い出していた。 グロスは小さい村に産まれた。 その村はどこの村よりも貧困でどこの村よりも迫害を受けていた。 グロスの親は貧困で自分が生きるのが精一杯と感じ、グロスを施設の前に捨てていった。 だから、グロスは愛を知らない。 施設でも愛される事は無かった。 グロスに襲いかかったのはイジメだった。 そのイジメはどこよりも残虐だった。 毎日毎日グロスは傷だらけの血だらけで骨折なんて当たり前だった。 そんなある日、グロスはいつもの様にイジメられ路地裏に転がっている所に誰かが喋りかけてきた。 「ガキ…てめぇ何されたらこんな血だらけになんだ?」 その時のグロスにとって自分に喋りかける男が天使にでも見えた。 グロスはその男に憧れを抱き、この永遠の地獄から抜け出す為にその男について行った。 そこで、人は殺せば死ぬと言うことも教わった。 精神的にも、肉体的にも…… いつしかグロスは残虐非道鬼畜のグロスと呼ばれていた。 そんな肩書きに酔いしれていたのだろう今の今まで… そして、先程グロスは勇敢な男に一捻りで負けた。 また、グロスは1歩ずつ歩きながら、昔のあの弱かった時の自分に戻った気がした。 そして、フラフラと歩いていると小さな村にたどり着いた。 「ここは?村?」 小さな村は森の中に1囲いぐらいの小さな村だった。 まるで難民キャンプだった… 1つのテントから女の子が1人でてきた。 「ようこそ、シベの村へ…」
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