3/3
108人が本棚に入れています
本棚に追加
/234ページ
「すると、相手は”仇討ちも何もねえ、ただ貴殿を試し斬りしたくてのう”と答えて、いきなり狂ったように高笑いを上げて、仏の首を刎ねちまったようで。その後も高笑いは止まることなく、太刀を振り上げては三つに四つに斬り刻んじまったようで」 「それで紙入れも奪わず、消えちまったってのか?」 「そのようで。無宿人はその場で小便漏らしながら震え上がり、しばらく動けなかったようですが、作り話をしている様子はありやせんでした。その話をしている最中にも、震えながら小便を漏らしやがる始末で」 「やはり同太貫の試し斬りか。何でえ、一体その野郎は?」 「わかりやせん、凶状持ちとしか言いようがありやせんが」 「凶状持ちなんて生易しいもんじゃねえだろ!およそ、人のやることじゃねえぞ!そいつは化けもんか人外かもしれねえぜ!」 「旦那、脅かしっこ無しですぜ!」
/234ページ

最初のコメントを投稿しよう!