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私は大きく頷く。
その勢いで、掴んだ彼の両手までブンと揺れた。
我に返り、とっさに手を離す。
蒼井くんもハッとなり、思わず手を後ろに隠した。
木枯らしがヒュルリと頬をかすめる。
この風はきっと、神様が吹かしてくれたものだ。
「……風も寒いし、手」
そう口走った瞬間、蒼井くんが「僕から言わせて下さい」と叫んだ。
「手、繋いでいいですか?」
真っすぐなその視線に、私は大きく大きく頷く。
指をからめるのは、まだ早い。
ぎゅっと包み込むように、お互いの指先を握り合う。
5ヶ月かけてやっと埋まった、15センチの距離。
初めて繋いだ手と手。
はじめて繋がった、私たちの気持ち。
今からが、今日からが
私たちの本当の、スタートだ。
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