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「えー!もう付き合って5カ月になるのに、
真帆、まだ蒼井くんと手も繋いでないの!」
ランチタイムの教室で、美佳が大声で叫ぶ。
と同時に、クラスメイトの視線が一気に集まる。
私は美佳の口をすぐに塞いだ。
「声大きいよぉ」
「でも、あんた進展遅すぎでしょ!」
美佳は、タコウィンナーの突き刺さったフォークを、
私の顔に突きつけた。
「……そんなこと言われても」
「真帆の方が先輩なんだからさ、
もっと大人の色気でリードしていかなきゃ!」
大人の、色気……。
リード……。
私は口ごもる。
たぶん、美佳はまだ分かっていない。
私たちはたしかに付き合ってる。
でも、そんな間柄じゃないんだ。
私たちの関係はそう、
「恋人」であっても「友達未満」なのだ。
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