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後ろから指す西日が、
彼の瞳を撫で、輝かせた。
私は思わず、大声で叫ぶ。
「わ、私こそ!
こんな彼女でごめん!
先輩なのに、ちゃんとリードできないし。
イケテないし、ダサいし。
そもそも、付き合ってくれたのだって
友達の手前、仕方なくだったんだよね?」
「違います!」
「でも、告白した時、嫌そうじゃなかった?」
彼は必至に首を振る。
「俺、心底驚いてたんです。
告白なんて、ドラマの世界のものだと思ってたから。
だから、呼ばれた場所に澄田さんが立ってるの見て
まずびっくりして。
告白された時はもう、頭の中真っ白でした。
これは夢だろうかって」
熱のこもった彼の声が
私の鼓膜を、心をも震わす。
それは、今までに聞いたことのない
彼の深い場所から出てきた声だった。
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