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同期の4人で会社近くのお店に。
営業部の坂上大和は同じ大学だったから、内定が決まってからよく話すようになった。
もう一人の平井翔平くんはほとんど話すの初めて。
でも二人とも話しやすくて良かった。
ゆめも少しは打ち解けたみたいだし…。
「そういえばタケシは元気?建築会社の営業だっけ?」
大和が聞いてきたのは、同じ大学だったヤツのこと。
「…知らない」
「えっ!?だって…」
「別れたから」
一瞬空気が凍った。
「ご、ごめん…」
マズイ。嫌な雰囲気になっちゃう。
「ちょっとー気にしないでよ!もうなんとも思ってないんだから……あ!ゆめ、またトリップ!」
「え?」
「ゆめはすぐに自分の世界に入っちゃうのよね」
……ゆめの妄想のおかげで空気が変わってよかった。
しんみりするなんてあたしらしくなくて嫌いだし。
『お前は強くていいよな』
……これはタケシに言われた言葉。
『新しい場所でもしっかりやって、悩みなんてないだろ?そんなお前に愚痴も弱音も吐けないんだよ』
就職してもお互い支え合っていこうと思ってたのは、あたしだけだった。
『もう疲れた。どうせお前は俺がいなくたって平気だろ?』
……タケシだけじゃない。
あたしはいつもそう言われる。
『千紗は強いから』
……そう言われると、気持ちが冷めてしまって涙すら流れない。
まぁ、タケシの言う通りなんだろうな。
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