Bad Timing

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月曜日、大和に頼まれてマンガを貸すことに。 今までで一番早く出社した。 ……ふぁ、眠い。 コーヒーでも淹れよ。 給湯室でコーヒーを淹れていると、突然耳元に熱い吐息を感じる。 「きゃっ!?」 「…お前もそんな可愛い声出せるんだな。朝から刺激強いわ」 振り向くと、嬉しそうにニヤニヤ笑う主任。 「何言ってるんですか!?完全にセクハラですよ!!」 「部長に訴える?あの人俺に頭上がらないから無駄だけど」 確信犯!? セクハラの上にパワハラ…最悪!! 「ところで、朝から営業部の男と待ち合わせ?手作り弁当でも渡してたのか?」 「違います!!…って、主任には関係ないし…」 「ふぅん、違うんだ?あ、そうそう。こないだ頼んだ書類後で持って来いよ」 ひらひらと手を振って給湯室を出て行く。 飲み物入れに来た訳でもないなら…わざわざあんな事言いに!? 始業時間になって主任に書類を持って行く。 「お、早いな……この部分は…」 「調べました。これで合ってますよね?」 聞かれた時の為に印刷しておいた紙を見せると、驚いたような顔になった。 「分からなかったら聞きに来てもよかったのに」 「自分で調べてみて、それでも分からなかったら聞こうと思ったので」 主任は笑いながら立ち上がると、あたしの頭にポンと手を置いた。 「お前偉いなぁ。仕事も早いしきっちりやってくれるから、頼みたくなるんだよな」 ……褒められた。 表面的な言葉じゃなくて、自分の事をちゃんと見てくれてるような気がして……不覚にも嬉しくなってしまった。 っていうかあんな顔も出来るんだ。 いつもの嫌味な笑い方じゃなくて……。 「これからも頼むな」 思わず……ドキッとしてしまった……。
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