第3章 第3相談者

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「はい、皆様のイライラ解決!発散堂でございます! ハッサン24、24時間受付中です!」御手洗の声はルパン三世のように軽妙で、小気味いい。 「あ、初めての方ですね、はい、お名前からどうぞ」 今日も仕事の始まりだ。     * 滝川佳(たきがわか)世(よ)にとってD―BOYSは、生き甲斐そのものだ。今年で44歳。結婚して14年がたつ。夫・博(ひろ)志(し)にはとうに愛情は無くなっている。今は娘の愛華とともにD―BOYSを追いかける毎日が何よりも楽しみなのだ。 D―BOYSは、10代の可愛い男の子4人組でダンスを得意としたボーカルユニットだ。EXILEトライブよりはアイドル性が強く若い。まだ売り出し始めたばかりなので全国各地でファン獲得のためイベントやライブを行っていたから、中高生女子のファンと比較的距離が近いのが人気の理由だった。メンバーのSHOU・RIKKU・JEI・YASIと4人それぞれが公式ブログを持っており、メンバーの中でも熾烈なファン獲得競争が繰り広げられている。なんといっても、まだ若い、売り出し中のグループなのだ。だからファンも自分が応援してこの子たちを育てているという感覚になるし、それがプロデュース側のしたたかな戦略でもあった。     
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