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団塊の世代はお金が有り余っているようだった。こうして自費出版にまんまと漕ぎつけるのである。博志の仕事は、こんなやり取りと、自費出版の手直しで終わることが多かった。(嘘はついていない、俺は作者の夢の実現の手助けをしているのだ)博志は自分にこう言い聞かせ仕事を続けた。
*
「ママ、あたしの紺のハイソックス、パパの洗濯と一緒にしたでしょ!」
愛華が血相を変えて佳世にすごんだ。
「あーら、ごめんなさい。最後の洗濯のときに交じっちゃったかしら?」
「勘弁してよー」
「ハイハイ、気をつけます、パパが帰らないうちに食事済ませなさい」
ダイニングテーブルにはもうすでによし江がちょこんと座っている。
「いただきまーす!」と愛華。
「珍し!おばあちゃんがパチンコの閉店前に家にいるなんて」愛華は言った。
「たまにゃ、諦めが肝心よ」よし江が言った。
佳世も愛華も食事中、携帯を手放さない。いじらないという家族ルールはあるもののいじらずに見るという習慣が定着していた。
*
「ただいまー」博志が帰るのは10時過ぎである。返事はない。もう全員寝室にいるのである。冷蔵庫からビールを取り出してテーブルを見ると、珍しく置手紙だ。
金策に頼みあり よし江
紙の後ろにはヤミ金からの請求書。開けてみると50万近くの請求だった。
「かあさん!かあさん!」博志はよし江の部屋に向かって叫ぶ。
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