2.地元の空の下

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「あー旨かった」 「安心するよね。安定の味。間違いない」  ごちそうさま、と代金のお礼を言いながら、中華の感想と共に橋を渡る。  空は薄ぼんやりと曇っていて、吐く息が白い。 「俺もう帰るけど、うち寄って嫁に挨拶していく?」 「んー。……いいや。よろしく言っておいてよ」  祥太郎が嫁さんに会わせようとするなんて珍しいな、とは少し思ったが、わざわざ会いに行く理由も見つからなかったので無難に断った。  祥太郎は特に感情も込めずに「わかった」とだけ呟いた。
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