56人が本棚に入れています
本棚に追加
「ところでさー。今更なんだけどさー」
波多野はたどたどしく、恐らくはあたしと祥太郎を見ながら口を開いた。
「お前ら、仲良いよな-」
「ホントに今更だな」
くっくっく、と肩を揺らす祥太郎を見て、あたしはお酒がこぼれそうだなー、とぼんやり笑う。
「二人は“そういう風”になったことないの?」
顔を上げて、何故か顎をおしぼりに乗せながら、祥太郎と“そういう風”になったことのあるなっちが目を据わらせながら、言う。
「コイツと?ないない!」
なお一層笑い声を上げる祥太郎に、なっちは懐疑的な目を向ける。
彼女は酔うといつもこうだったな、と思い出した。
「コイツじゃ勃たねーよ」
祥太郎の言い分まで当時のままで、あたしも負けじと「あたしの方こそ」と当時と同じ切り返しで笑いを誘う。
「お前は何が勃つんだよ」
と祥太郎が大笑いした拍子に、危惧していた通りにぴちゃっとテーブルに清酒が少し飛び散った。
最初のコメントを投稿しよう!