5.終わらせる言葉

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 三十分が十二話で六時間。  最終回のエンドロールを涙で見送って、隣で舟を漕ぐ悠資を揺する。 「終わったよ」 「あ、うん……面白かったね」  余韻も何もない薄い表情を湛える悠資の細い目は、早朝の川面のように美しく、あたしを呆れさせる。 「少し寝ようか?」 「うん」  脱力してあたしの肩に頭を預ける悠資は、油断すれば今にも寝てしまいそうだ。 「ここじゃなくて。ベッド行くよ」  操り人形のようにぐってりとした悠資の手を引いて立たせ、あたしはブルーレイデッキの電源を落とした。  ところが。  天の邪鬼なのかなんなのか、ベッドに横たわった途端、悠資は目をぱっちりと開いて、無駄にごろごろっと転がっている。 「もう。なんなのよ」  笑いながら窘めるあたしは、まるでこの人のお母さんだ。  ため息にも、それにそぐわない感情が混ざる。
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