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私の妹の千春、精神科医の彼方さん。
そして、私である。
だけど、萌だけは薄手のパジャマを一枚着ているだけだった。
私たちは少し肌寒かったけれど彼女だけは、気持ちよさそうに横になっていた。
千春が、自販機でいちごミルクを買ってきたあと私たちは萌との最後の小さな小さなティーパーティーを開いた。
それはセミが鳴きじゃくる8月の半ばを迎えたころ。
私と彼方さんが久しぶりに休憩時間が重なったので、久しく行っていない萌と太郎が経営する喫茶店に行ったときの話。
萌が料理をしながらやたらと胸を押さえていたので彼方さんが萌に尋ねた。
「胸、どうかしたの?」
それを聞いた萌は、苦笑いでこう答えた。
「なんか、胸の付け根にシコリができちゃって……」
私は、このとき少し嫌な感じがした。
「少し触ってもいい?」
私が、そう尋ねた。
すると萌はあっさりと了承してくれた。
「え?いいよー」
私は、萌の許可を得てから萌の胸のシコリの部分を触った。
そこには小石のような硬いものがあった。
「どう?なにかわかった?」
萌が心配そうな声でそう尋ねた。
「詳細はなんとも言えないけど……
少し早めに病院に行ったほうがいいよ」
私は、彼女にそういうことしか出来なかった。
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