君の味と捨てた者

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 鉄のにおいが漂っている。僕は罪を犯した。  鎖で繋がれている。  身動きが取れない中で、あの日捨てたはずの「味」が口の中にふわりと広がった。  柔らかい肉、白くてさらさらとした肌触り。鉄のにおい、しょっぱい味。  君の「味」を思い出すだけで興奮する。もう一度会いたい。  あの日捨てたものは、もう戻らない。  鎖から解き放たれた僕は、手を繋がれたまま、この世を去った。彼女は今どうしてるかな。
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