希望

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「おーい、のぞむ!」  階段を駆け下りようとした矢先、後ろから声をかけられて、僕は慌てて手すりを掴んで足を止めた。クラスメイトの男子が追いかけてきていた。 「おまえ、何急いでんの? 部活なら一緒に行こうぜー」  僕はごめん、と両手を合わせて見せた。 「僕、今日部活休むから」 「え、なんで? 体調悪いとか――って、そんなふうには見えないけど」 「ちょっと家の用事。ごめんっ、行くね」  まだ「おい」と呼びかけられたけど、無理やりバイバイと手を振って僕は階段を下りた。  気を悪くさせたかな。「事情は明日ちゃんと説明するからね」と心の中で言い訳しながら、三階分の階段を駆け下りた。
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