希望

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 本当は、そんなに急ぐほどの用事じゃない。部活だって本当は休む必要はない。だけど、気が急いて仕方なくて、部活に集中できる状態じゃなかった。友達と言葉を交わす時間さえももったいなく感じるくらいなのだから。  下駄箱で靴を履き替えると、また全力で駆け出した。  十一月の半ば。外に出た途端、風の冷たさに一瞬怯んだけれど、足は止めなかった。走ったら、家まで二十分ぐらいで着くかな。  部活の野球部では毎日びっしりと走らされている。おかげで体力だけは自信があるんだ。家まで走ることなんて余裕だ。  今頃何してるかな。寝てるかな、起きてるかな。  そんなことを考えると、自然に頬が緩んできてしまう。にやにやしながら走る中学生なんて、きっと周囲から見ると気色悪いだろうなと思って、あわてて頬を引き締めた。
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