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1LDKの狭い部屋のあちこちに脱いだ服が散らばっている。 大学入学の頃に付き合い始めた恋人、五十嵐(いがらし)の背中に手を回しながら柏木愛斗(かしわぎ まなと)はそっと瞳を閉じた。 性急な手つきで身体を這う手が、愛斗のまだ解れきってもいない後に伸ばされる。 (……まだ……もう少し……そこじゃなくて) 愛斗はもどかしげに唇を噛みしめるとそっと眉を潜めた。 五十嵐のセックスはいつも愛斗のいい場所を外してくる。 初めの頃こそ好きな気持ちだけで陶酔する事ができたが、最近ではそんな気持ちも半分くらいはなくなってきていた。 五十嵐の事が嫌いなわけじゃない。 元々人づきあいが苦手で、大学入学当初もなかなか馴染めず孤独になりがちだった愛斗に声をかけてきてくれたのが五十嵐だった。 「お前、けっこうかわいい顔してんのに何で彼女とか作らないわけ?」 あけすけな言い方には毒や嫌味がなく、五十嵐の明朗快活な性格が表れていた。 だからなのかもしれない…。 ノンケだとわかっていた五十嵐に自分がゲイである事を明かしたのは。
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