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僕
何故、こうなってしまったのか。
なんの為に生きているのか。
好きな事、夢、希望。
全て忘れてしまった。
繰り返される日常の中で、疎外感と不安と恐怖がグルグルと頭の中で渦巻く。
僕は何がしたい。
僕は何が出来る。
僕は……何をしている?
そんな問いが延々と続く。
答えなんか出ない。
ふつふつと湧くのはそんな自分への怒りと憎しみ。
あの時、ああしていれば。
あの時、こうしていれば。
後悔が言葉を変えて僕を責めたてる。
後悔なんてしても何も変わらないのにね。
でも、ここに立って目を開くと素晴らしい世界が出迎えてくれる。
吹き荒れる風に晒されながら、僕は目の前に広がる夜の街並みを「綺麗だ」と感じていた。
感動している。
気づけば目には涙が溜まり視界が歪んでいる。
忘れていた感情。
それが溢れだしている。
僕は嬉しい。
最後の最後で忘れていたものを思い出せた。
こんな気分は久しぶりだ。
下には車が行き交う光が線となり幻想的な雰囲気だ。
世界はこんなにも素晴らしいのだと世界自身が伝えようとしているのかもしれない。
そうだね。
世界は素晴らしい。
でも、闇も抱えている。
光に闇は付き物だ。
それはどうやっても変える事のできない事実。
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