1行きます!

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1行きます!

「まだ7時15分。よーし!」 マンションの前で準備運動をしていた優香は、お気に入りのピンクのシューズでゆっくりと歩き出した。 夜で日が落ちたとはいえ、路面は熱く、じっとしていても汗だくになる気温だった。 そんな町を優香は長袖のジャージとズボンで今夜も歩いていた。 もう汗が噴き出して来た。首に巻いたタオルで顔を拭うと優香はさらに歩みを速めた。 彼女のコースは地元商店街を歩くもので防犯を考えたものであり、さらに気分が悪くなった時、いつでも商店に駆けこめる事を考慮した道だった。 最初は平坦であるが、15分ほど歩くと登り坂になってくる。ここから彼女はランニングに切り替えていった。 ……はあ、はあ、苦しい…… しかし。この苦しい分、いい感じの身体になるかと思うと、彼女はどんなに苦しくても足が前にでるのだった。 ……はあ、はあ、はあ…… 渋滞の車の運転手が自分を見ていたが、優香は構わず汗だくで走りぬけた。 ……はあ、はあ……あの消火栓まで…… そして優香は勝手にゴールにしている消火栓に今夜もタッチした。そして息が上がった彼女は、そのままゆっくり歩きながら先へ進んでいった。 ダイエットを始めた彼女は、やはり運動しないとダメだという結果に行きつき、こうして毎夜走っていたのだった。 ……タッタッタッ…… 背後から足音が聞こえてきた。この音から男性と判断した彼女は、歩道の脇に寄って、ランナーにコースを譲った。 すると足音は彼女を抜くことなく、歩きだした音がした。 「はあ、はあ、君さ。ちょっと、ちょっと待ってくれ」 振り向くとそこには見知らぬ男性が、ジャージ姿で話しかけてきていた。今はちょうど商店街を抜けて誰もいない公園の前の暗い道だった。 「なあ、君、はあ、はあ……」 長身の男はゆっくりと優香に近寄ってくるが、彼女は思わずダッシュした。 「キャーーーー!!」 「おい?待てよ?」
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