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どんな人が来たんだろう?
僕は興味津々で足を止めていた。
するとトラックの陰から、同い年くらいの女の子が小荷物を持って姿を見せた。
僕は彼女と目が合い、ドキッとした。
か、可愛い…
それが僕の、彼女に対する第一印象だった。
彼女は肩まで伸びた髪を揺らしながら、にこっと笑い頭を下げた。
「ど、どうも…」
僕は気の利いた事も言えず、待ちくたびれたペスに引っ張られてその場から離れた。
「名前だけでも聞いときゃ良かった…」
まあ、お隣さんなんだし、いつでも聞けるか。
などと思いながらも、散歩中ずっと彼女の事を気にかけていた。
そして散歩から戻ると、トラックはもう居なかった。
隣の家を横目に、玄関に入ってペスを裏庭に繋いだ。
「ねえ母さん、隣の家引っ越して来たみたいだよ」と僕は言いながら、冷蔵庫からペットボトルを取り出した。
「ああ、さっき挨拶に来られたわよ」と夕飯の支度をしている母親が、さらっと言った。
「え?うそ?もう来たの」僕は咄嗟に振り返った。
「どんな人だった?」と僕が焦った様子を見て、母親は、ははんっとにやけた。
「あんたの目当ては女の子ね?」
母親は僕の本心を、ズバリと言い当てた。
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