1 出会い

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母によると、隣に越して来たのは三好さんという3人家族だ。 ご両親は共に、優しそうで礼儀正しい人だという。 娘さんは僕と同い年らしいのだが、体が弱くて環境のいいこの町で、養生の為に越して来たそうだ。 「で?名前は何ていうの?」 「だから三好さんよ」 「違うって!女の子の名前だよ!」 「それは聞かなかったわねえ」と母親はたくあんをポリポリ食べている。 父親を早くに亡くして、母と2人の食卓は唯一のコミュニケーションとも言えた。 母は在宅でグラフィックデザインの仕事をしてるので、かなり自由が利く。 「ええ?何で聞かないんだよ」と僕はガックリとした。 「どうせ学校で会うでしょう?あんたが自分で聞いたらいいじゃない」と母親は澄まし顔だ。 あ、そうか。転校生だし直接聞けばいいか。 話すきっかけに丁度いいかも。 同じクラスになったらいいな、などと僕は1人盛り上がっていた。
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