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2 河川敷にて
そして新学期が始まり、長い夏休みは幕を閉じた。
でも僕の心はときめいている。
何故かって?
それは言わなくてもわかるだろう。
どうか彼女が、同じクラスでありますようにと神様に祈った。
しかし、彼女は現れなかった。
それに僕のクラスだけでなく、何処のクラスにも転校生の話は出ていなかったのだ。
どうして?
学年が違うのか?
居た堪れず僕は放課後、職員室に向かった。
「何だ久保、珍しいな?」と担任の山崎先生が僕に声をかけて来た。
「先生、実はですね、確認したい事がありまして」
僕は転校生の事を尋ねた。
どうやらこの学校自体に、転校生はいないそうだ。
と言うことは違う学校か?
まさか考えても見なかった。
しかし十分にあり得る話だよな。
公立に私学と、この地区には高校が4校もある。
僕はガックリ肩を落としながら、校門を出た。
真っ直ぐ家に帰る気にもなれず、僕は寄り道した。
堤防沿いの河川敷は、風が気持ちよく見晴らしもいい場所だ。
僕はその河川敷をぶらぶらと歩いた。
すると河の側の石垣の上に、女の子が座っていた。
後ろに置いてある自転車に見覚えがある。
隣の三好さんの玄関に、置いてあるやつだ。
柱のパイプが赤の蛍光色なので、すぐに分かった。
彼女だ!
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