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「どうしたんだい、大工さん」
ふと、隣に住む老人が話しかけてきた。
いつまでも車の傍をうろついている昌弘を不審に思ったのか、訝しげな表情をしている。
この怒りにも似た心境を誰かに聞いて欲しい昌弘は、老人に話す。
「こんばんは。どうやら、鍵を盗まれたみたいで」
「何?それは大変じゃな。車の中は探したのかい」
老人は言う。……隅々まで探してないから、盗まれたんだろうが。
「ええ。引っくり返して探しました」
普段思わないようなことを思うが、それは口に出さない。
老人は何かを考えると、ふと思い付いたように言った。
「そうじゃ!イチ君に相談してみるといい!」
「イチ君?」
「この辺りに住む、探偵さんじゃよ」
老人は、さも名案を思い付いた様に、嬉々として言った。
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