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いったい、どれだけ、歩き続けたのだろう。
何日何月何年、何十何百何千年。
それももうわからない。
世界は時を捨てたのだ。
だから男は歩き続けた。
男は長い年月の中で、希望を捨てた。
だが男は絶望も捨てた
そうしなければ何もすることがないのだ。
この何もない世界で何もなければそれは本当に何もなくなってしまうのだ。
それが男にとっては恐怖であった。
だから男は信じることにしたのだ。
奇跡がどこかで起きていて、
同じように生き残った人々がいる。そんな幻想を彼は探し続けていた。
男が捨てなかったものは幻。
希望は失われた。ただ幻のみを求めてさ迷い歩く。
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