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 やがて前方数十メートル先に陸橋が見えてきた。ここを通り過ぎれば、最寄り駅まであと少しだ。 「わたしたち、明日から会えなくなっちゃうね」  不意に、真夏ちゃんの口からひどく悲しい言葉が漏れた。  ボクはちょっぴり泣きそうになりながら、 「そんな悲しいこと言わないでよ。連絡するし、たまには会ってほしいな」  限りなく本音に近い言葉だった。さすがに毎日会いたいだなんて自分本意なことは言えない。  ボクの言葉の直後、なぜか数秒の間が空いた。疑問に思い、右方を向く。 「あのね、小秋ちゃん」  そして、真夏ちゃんは気まずそうな、あるいは困ったような曖昧な笑みを浮かべ、言った。 「実はわたし、明日から丸々一ヶ月、イギリスに行くんだ」 「え」 「知ってると思うけど、わたしのおじいちゃん、イギリス人なの。でね、もう何年も会ってないから、今年こそは顔を見せにいくぞってパパがうるさくて……本当に困っちゃうよね」  言いつつ、美少女は茶色がかった瞳を三日月形に細めるが、いやいや、笑いごとではない。断じて。
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