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「あのさ……」  どうして、こんなにも声が震えてしまうのだろう。どうして、こんなにも息が詰まってしまうのだろう。  寄せては返す波の音だけが慎ましく響くこの空間から、ボクはだんだんと逃げ出したくなり始めていた。 「ちょっと飲み物買ってくるけど、何かいる?」  結局、告白の言葉を寸前で飲み込んだボクは、自分自身をいったん落ち着かせることにした。  真夏ちゃんは唇に人差し指を添え、少し考えるような素振りを見せたあと、 「コーラが飲みたいかも」 「コーラね、了解」 「あ、でも全部は飲み切れないと思うから、二人で半分こしよう?」 「いいね、それ」  直後、ボクはホームの端に設置された自販機まで小走りで向かい、缶コーラを一本買った。このとき、ボタンを押した指先は小刻みに震えていた。  受け取り口に右手を伸ばし、痺れるほどに冷えたコーラを手のひら全体で感じながら、一度深呼吸。 「ふう……」  お腹の底から勢いよく二酸化炭素を吐き出したあと、ボクは本日もう何度目かの覚悟を決める。今度こそ、今度こそ本気だ。
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