金平糖が溶けた

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「大丈夫。それよりも、その貴公子イチの彼女はどんな子?」 高校生になった伊槻の口からは「イチ」の名前が度々登場する。 それまでは、「ユウ」と二人で居ることが多かった伊槻に、新しく出来た友達の「イチ」は、とにかく滅茶苦茶なのだと、伊槻はいつも楽しそうに話す。 髪の毛をメッシュにしたり、ピアスの穴を沢山あけたり、バイクで登校したり・・・私や伊槻が絶対に出来ないことを、なんでもない顔でやるらしい。 そんな彼に影響されて、ユウまで髪を染めたと、伊槻は笑いながら話していた。 自分には出来ないと話す伊槻は、きっと彼が羨ましいのだろう。 でも私にとっては、伊槻だって充分羨ましい。 そんな素敵な友達がいることが、とっても羨ましい。 「可愛い子だよ?一学年下の子」 「そうなの?見てみたいなー」 貴公子とその彼女の姿を想像する私に、伊槻が少し困ったように笑った。 「前にも、その子のことを花純に話したよ?」 「え?」 「覚えてない?」 その言葉に、伊槻が前に来た時の事を思い返す。 「・・・え、」 思い出したそれに、私は困惑して伊槻を見た。 「え、でも、それって」 それは伊槻の友人であるイチの両親が再婚をして、突然妹が出来た話。 一つ年下の、可愛らしい子だと伊槻は言っていた。 でも、だからって、まさか・・・。 どんな顔をしたらいいのかわからない私に、伊槻は笑って見せた。 「イチの彼女は、義理の妹だよ」 それはとても、自嘲的は笑みだった。 「いもうと」 義理の妹と、恋に落ちた。
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