君と僕の心理学

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君と僕の心理学

教室に規則正しく並ぶ40個の机。 一番後ろ、窓側から二番目。 そこが僕の席。 机に突っ伏して、窓側の席を見つめると、僕の視線に気づいたその子は、ちらりとこちらを見返した。 「何?」 その言葉に慌てて“何でもない”という意思表示で首を振ると、彼女はあっという間に僕への興味を失った様子で、再び手にしていた本に視線を移した。 きょろきょろと教室を見渡してみる。 あっちの席ではスマホ片手に盛り上がる女子たち。 あっちにはそんな女子にいかにしてちょっかいを出すか目論む男子たち。 見慣れた光景。 いつもと違うのは、毎日僕とつるんでいる定岡が、熱を出して学校を休んでいることくらいだ。 きっと僕が女子だったら、普段は交流のないグループに 「今日だけ入れて」 なんて声をかけるのかもしれないが、何だかそういうのはかったるい。 こちらから積極的に行けば皆、自然に仲間に入れてくれるだろうけれど今はそんな気分じゃない。
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